母の作品

2017-02-17

五年前に亡くなった母が使っていた、はさみの修理が出来てきました。つぶれていたネジも新しくなり、とてもよく切れるようになりました。
母は縫物が好きな人でしたが、若い頃から縫物を自由にするゆとりも時間もなく、人生を終わりました。
ただ、晩年、ほんの1年程の短い期間でしたが、刺し子を習いに行っていました。

母が作った刺し子作品です。
c0352397_16011444.jpgランチョンマットc0352397_16013515.jpgテーブルセンターc0352397_16015850.jpg巾着袋
私のリクエストに合わせて、旅行用の下着入れや小物入れ等々、いろんな模様と色糸で縫ってくれました。刺し子は特に針目がよく分かるので、一針一針綺麗に揃った針目を見ると、元気に縫物をしていた母を懐かしく思い出します。

母は人生で初めて、誰に気兼ねすることもなく習い事が出来て、本当に嬉しそうに刺し子を楽しんでいました。せっかくお稽古に通うようになり、自分の好きな事が出来るようになったのに、再び体を悪くし、教室に通う事が不可能になりました。体の調子のよい時は、習ったことを元にして家でチクチク縫っていました。私の友人や親戚などにも、沢山作ってプレゼントしていました。
母の刺し子用に、私のヘンケルスと同じようなはさみを買ってあげようと、高島屋で見つけたのがこのアドラー【 木屋 】のはさみでした。
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そのはさみをある刃物店に研ぎに出したら、ネジがつぶされて、刃が合わなくなって帰って来たのでした。母はとても残念がっていて、切りにくいのを我慢して使っていました。
母が亡くなってからも、処分しようかどうしようかと、ずっとこのはさみが気になっていて、ようやく木屋 のHPから問合せ、京都高島屋を通して修理してもらえることになったのでした。他店に研ぎに出したばかりに、刃が悪くなったにもかかわらず、木屋さんは大変親切に対応して下さり、刃先も鋭く良く切れるように直してくださいました。
こんなに綺麗に直してもらえるなら、母の存命の間に修理に出してあげたら良かったと後悔しています。

このはさみも、ヘンケルスと同様に大切に使っていこうと思います。母もきっと喜んで、力を貸してくれると思います。
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