幸せを見守る町家キルト

2017-04-09

幼い頃から、ずっとお世話になっていた近所のお家が、来週埼玉に引っ越しされることになりました。

その家のおばさんは、古い着物をリフォームする洋裁の仕事を長年されています。幼い頃から縫い物好きな私は、その方から大変影響を受けて大きくなりました。キルト作家になってからは、近くに縫物を仕事としている方がいるというのも、とても励みになっていました。

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私の町家キルト第1作「町家と蔵」の瓦屋根には、おばさんが東寺で買ってきてくれた布が使われています。町家キルトの創作活動を始めようとした時も、悩んでいた私の背中を押す、励ましの言葉をくださいました。

今までのいろんな感謝の気持ちを込めて、作品を一点もらって頂こうと思い、これに決めました。

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2015年に制作した【町家物語】私の生家で、町家キルトを始めるきっかけとなった原点ともいうべき町家です。

作品を見るなり「さよちゃんの家や!!」と驚いて下さいました。「関東に行かれても町内での暮らしや、私や母の事を思い出してもらえるように、この作品を選びました。」と伝えると、涙を浮かべて、「部屋に飾らせてもらう!」と喜んでくださいました。

「小さいさよちゃんが、可愛い赤いスカートはいて、この玄関から出てきて、お母さんの服の裾をつかんで私ににこっと笑って、二人で楽しそうに歩いていく姿を、今でも思い出すよ。スカートの色まで覚えてる。。。」
と、作品を見ながら語ってくれました。

「私が世間話をしに行くと、この格子戸の部屋でお母さんはいつもさよちゃんの事を、嬉しそうに話したはった。」
おばさんと母の姿が目に浮かぶ懐かしい光景です。

親戚以上に親しくさせて頂き、亡くなった母とも仲が良かったので、母の思い出話を出来る人が遠くに行ってしまわれて寂しくなります。

作品を見るだけで、その家の住人の顔を思い浮かべ、暮らしぶりを想像し、昔の事、地域の事も思い出し、温かな気持ちになれる。町家キルトの不思議な力。

何十年と暮らした土地を離れることは、本当に寂しい事だと思うけれど、新しい土地で、思い出の一杯詰まった私の町家キルトが、おばさん家族の幸せを私の代わりに見守ってくれますように。。。