町家キルトの原点

2019-04-05

京都の手芸家、キルト作家 Sayoko のブログにお越し頂きありがとうございます。

 

今週の教室では、1999年の堺町画廊で発表した町家キルト初期作品を生徒さんに見せながら解説して、当時の想いなどをお話しました。

 

 

この1999年に発表した作品が、その後開講する「町家キルト教室」のカリキュラム作品になります。


1998年、今から21年前に私が初めて町家を表現した作品「町家と蔵」です。

それまで普通のアメリカンパッチワークをやっていましたが、町家を縫ってみようと思って全くの独学で作った町家作品です。

着物地の絹を始めて扱ったにもかかわらず、全く縫いにくいと感じませんでした。
製図も当たり前のように手が動きました。

現在初級生徒さんには、なかなか判断できないと言われる、瓦や板壁などの素材の使い分けも、着物を見たら、一目で普通に判断出来ました。

縫製技法についても、次々とアイデアが湧きました。

完成した作品を見た時、亡き母は「鳥肌が立った」と言っておりました。

この20年、教室で指導している「町家キルト」の技法や、布にこだわる指導内容全てが、この1作に表現できているのが自分でも不思議です。

この、「町家と蔵」が、この後縫い始める、町家キルト作品のお手本となったのです。
この町家キルト 第1作「町家と蔵」は、今思えば、縫いの神様からの贈り物の様です。

 

 

 

 

「町家と蔵」の次に制作した額装作品、「松の木のある家」1999年2月制作です。
教室のメインカリキュラム作品の原型です。

この町家作品を発表した後、デザインした町家の構造が、数か所間違っていることに気づき、デザインを直して、町家の構造に関しての知識も勉強して教室での指導内容を考えました。(※上の町家のどこが構造的におかしいか、お分かりになりますか?)

今、教室で指導している作品に比べたら、松の枝ぶりも単純で、塀からのぞく庭の花の色に違和感があり、野暮ったいですね。

 

「蔵と柳」第1号 1999年2月制作
こちらも、柳が1色の刺繍糸だけですし、葉の数も少なく表現が粗いです。

 


「小さな町家」第1号 1999年3月制作
なんて暗い色合い(笑)

他の作品も、写真ではお見せ出来ないほど、今見返したら問題ありです(笑)
でも、どの作品も愛おしくて、当時一針一針縫って仕上げた一生懸命さが伝わってきます。
そして制作月を見たら、どれほど早く縫っていたかが分かります。

 

写真で紹介した作品4点と他3点、合計7点を20年前に堺町画廊で発表し、町家キルトは始まりました。

その後、何作も何作も作って、段階を踏んで、感性を磨き続けて現在に至ります。

初期の作品を今、教室の生徒さんに見せた理由を、何人の方が理解して頂けたかな、と思いますが….

 

アーティストと、教室の講師という、全く真逆の立場を切り替えながらの日々です。

私自身も20年前の作品を見て初心を思い出しました。