「ハレとケ」 町家キルトに込めたメッセージ

2019-10-30

京都のキルト作家、手芸家 Sayoko のブログにお越し頂きありがとうございます。

 

インスタグラムには、海外の方が分かり易いように、写真で作品の進捗を載せていますが、こちらのブログには、作品制作の想いを書いておきますね。

 

私の作品の色合いは、従来のパッチワークにはない独特な渋さがあります。

色彩や布のこだわりについて、よく質問を受けます。

そんなとき私は「ハレとケ」という言葉を使って、作品制作のこだわりを説明します。

 

「ハレとケ」とは、柳田國男によって見出された、時間論をともなう日本人の伝統的な世界観のひとつ。

「ハレ(晴れ、霽れ)」は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」「特別な日」、それとは反対の「ケ(褻)」は普段の生活である日常を表しています。(Wikipediaより参照)

 

私の作品は、そのほとんどが「ケ」の時間帯を表現しています。

何気ない日常の中にある幸せな風景を見つける。
何気ない日常の家の中の住人を想う。

私の作品には、人を登場させませんが、作品を見た人が、その家の中にある幸せな家族の団欒や生活を自由に想像できるようにと思って縫っています。

 

私は自分の縫う家の住人は「幸せでありますように。。。」と思いながら縫っています。
生徒さんにも「幸せに暮らしている住人を想像して縫ってください」と指導しています。

そのために、色合いに関しては、地味でありながらも、楽しさや幸せ感が伝わるようにというこだわりを持っています。

 

家の中で起こっていることは外からでは分かりません。
どんな家にも、家族にも、それぞれの物語があります。
悲しい事もあるでしょう。
「ケの日」の積み重ねの上に「ハレの日」があるのです。

 

負けるなよ!!」というメッセージを込めて作品制作をしています。
それは自分自身に対しても。。。

 

普段の生活を大切に思う、そんな気持ちで縫っているのが町家キルトです。
だから、使用する布は、おじいちゃんやおばぁちゃんが普段に着ていたような着物を多く使っているのです。

普段の色彩の中にある「美しさ」を表現しているのです。
町家キルトに華美は必要ないのです。

 

見た人が、それぞれの家族(先祖)を思い描き、何気ない日常「ケの生活」にある幸せに気づくのが「町家キルト」だと思っています。

作品展で多くの人が、「いつまでも見ていられる。落ち着く。心が癒される。」と言って下さるのは、そういう思いをこめて縫っているのが伝わっているのではないかと思います。