キルト作品を作る上で、私が一番大事に思うのは色彩です。
デザインが良くても、縫う技術が優れていても配色を間違えたら残念な結果になってしまいます。
私が教室を始めた15年前は、生徒さんに配色指導するのは自分の感覚でした。
しばらくして、これではいけない。これでは、生徒作品が私の好みの色ばかりになってしまう。
私の好みではない色でも、生徒さんが使いたい色を使わせて、その配色が美しいものにしてあげたい。
なぜこの配色はダメなのか、なぜこの配色が美しいのかを正確に納得してもらえるように教えないと指導者は続かない。
美術を専門に勉強したことがないこともあり、人に教えるならしっかりした配色理論を勉強したい。
そうすれば、自分の創作活動にも、指導者としての立場でも、更に自信がもてるだろう。
と思い、38歳の時にAFT色彩能力検定試験の勉強を始めました。
資格を取るなら最高の1級を目指すそうと思い、猛勉強をして、翌年1級色彩コーディネーターの資格を取得しました。
その後、色の勉強が楽しくなり、1級資格取得者限定のAFTカラーデザイナー資格講座を受講し、カラーデザイナーの資格もとり、続けてパーソナルカラーやカラーボトルセラピーなどの資格も取得しました。
今では、生徒さんの頭にあるイメージを聞き出して、自信を持って的確な配色アドバイスが出来るようになりました。
色の知識が全くない方は、自分がどんな色を好むか、どんな配色の作品にしたいかも分からない方が多いです。
青みがかっている色、黄みがかっている色などの区別がつかない、それが普通だと思います。
アメリカンパッチワークを長年やっていても、縫えるんだけど配色が出来ない、という方が多くいらっしゃいます。
私の教室にはアメリカンパッチワーク歴の長い人、他のパッチワーク教室や刺繍教室に通われている方もいらっしゃいますし、過去には講師資格取得者や、講師としてご自分の教室をお持ちの方も習いに来られていました。
そんな方々もやはり残念ながら、縫えても配色が難しいとおっしゃる事が多いのです。
私が配色をアドバイスする時は
どんな人が暮らしている家を作るの?家族は若い人?男?女?
季節は?昼?夜?
あなたがお店でハンカチを買うとしたら、どんな色を好んで買ってる?
最近の気分は?
出来た作品はどんな部屋に飾ろうと思ってる?
こんな事を聞きながら、手持ちの布を見て配色指導していきます。出来るだけその方が集めた布を使って配色出来るようにします。
そうすると作品が出来上がった時
「先生!私こんなのが作りたかったのです。イメージのままです!」とおっしゃる方が多いです。
そんな言葉を聞いたとき、とても嬉しいです。
イメージを色に変えて表現すると、他人が見ても作者の想いを感じてもらえるようになります。
自分の想いを色で作品に表すことが、自分の気持ちを整理する事にも繋がり、作品を作りながら心が癒されていくというのは、私が自分の創作活動で実践済みです。
色を本格的に勉強することは正直難しい事ですが、色を見分けるには、普段から色を意識することが大切なんです。
テレビや雑誌を見ている時、俳優さんの服の色とか口紅の色とか、車の色とかを意識して見る。
デパートの洋服やハンカチ売り場の色を見たり、外出した時、山の色や空の色、木々の色の変化に気をつける。
美しいものを見て感動した時、その美しいと感じる色は?自分が感動するのはどんな色?などと意識して見る。
それだけでも色の感覚は磨かれていくと思います。
今の自分の気持ちを癒す色を毎日手に取り眺めながら、想いを込めて縫う。完成した時、一段階成長したなって感じますよ。